《はつゆき》やせめて雀《すゞめ》の三|里《り》まで」どころではない雀《すゞめ》が首《くび》つたけになるほど雪が積《つも》りました。其時《そのとき》に俄盲目《にはかめくら》の乞食《こじき》と見えまして、細竹《ほそたけ》の※[#「筑」の「凡」に代えて「卩」、第3水準1−89−60]《つゑ》を突《つ》いて年齢《とし》の頃《ころ》は彼是《かれこれ》五十四五でもあらうかといふ男、見る影もない襤褸《すぼろ》の扮装《なり》で、何《ど》うして負傷《けが》を致《いた》しましたか、尻《しり》を端折《はしよ》つて居《ゐ》る膝《ひざ》の所からダラ/\血が流れて居《を》りまする。ト属《つ》いて来《き》ましたる子供《こぞう》が、五歳《いつゝ》か六歳位《むツつぐらゐ》で色白《いろじろ》の、二重瞼《ふたへまぶた》の可愛《かあい》らしい子でございまするが、生来《はら》からの乞食《こじき》でもありますまいが、世の中の開明《かいめい》に伴《つ》れて、前《ぜん》、贅沢生計《よいくらし》をなすつたお方《かた》といふものは、何《ど》うも零落《おちぶ》れ易《やす》いもので。親父《おやぢ》の膝《ひざ》から、血が流れるのを視《み》て、
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