声《こゑ》にて、婦人「何《なん》だとえ。梅「え……何処《どこ》の人《ひと》だえ。婦人「何処《どこ》の人《ひと》だつて、お前《まへ》の女房《にようばう》のお竹《たけ》だよ。梅「お竹《たけ》え……是《これ》はどうも……。竹「何《なん》だとえ、今《いま》聞《き》いてゐれば、彼奴《あいつ》の顔は此《こ》んなだとか彼《あ》んなだとかでいけないから、さらけだしてしまひ、小春姐《こはるねえ》さんと夫婦《ふうふ》に成《な》らうと宜《よ》く云《い》つたな、お前《まへ》其様《そん》なことが云《い》はれた義理《ぎり》かえ、岩田屋《いはたや》の旦那《だんな》に連《つ》れられて浜《はま》へ往《い》つて、松《まつ》さんと喧嘩《けんくわ》アして帰《かへ》つて来《き》た時に何《なん》とお云《い》ひだえ、あゝ口惜《くや》しい、真実《しんじつ》の兄弟《きやうだい》にまで置去《おきざ》りにされるのも己《おれ》の眼《め》が悪いばかりだ、お竹《たけ》や何卒《どうぞ》一方《かた/\》でも宜《い》いから明《あ》けてくれ、どうかエ然《さう》して薄くも見えるやうにして呉《く》れと云《い》ふから、私《わたし》も医者《いしや》ぢやアなし、
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