ぶ》れたのかと思つて、おど/\してゐる所《ところ》へ、近江屋《あふみや》の旦那《だんな》が帰《かへ》つて来《き》て、梅喜《ばいき》の眼《め》が開《あ》いたから浅草《あさくさ》へ連《つ》れて往《い》つたが、奥山《おくやま》で見失《みはぐ》つたけれども、眼《め》が開《あ》いたから別《べつ》に負傷《けが》はないから安心して居《ゐ》なと云《い》はれた時には、私《わたし》は本当に飛立《とびた》つ程《ほど》に嬉《うれ》しく、自分の眼《め》が潰《つぶ》れた事も思はないでサ、早くお前《まへ》に遇《あ》つて此事《このこと》を聞かしたいと思つたから、お前《まへ》の空杖《あきづゑ》を突《つ》いて方々《はう/″\》探《さが》して歩くと、彼処《あすこ》の茶店《ちやや》で稍《やうや》く釣堀《つりぼり》へ往《い》つたといふ事が解《わか》つたから、こゝへ来《き》てもお前《まへ》の女房《にようばう》とは云《い》はない。只《たゞ》梅喜《ばいき》さんに遇《あ》ひたうございます。何卒《どうぞ》遇《あ》はしておくんなさいまし、私《わたし》は女按摩《をんなあんま》でお療治《れうぢ》にまゐりましたと云《い》つたら、按摩《あんま》さんなら茲《こゝ》においで、今お酒《さけ》が始まつて居《ゐ》るからと云《い》ふので、私《わたし》は次《つぎ》の間《ま》に居《ゐ》るとも知らず、お前《まへ》は眼《め》が開《あ》いたと思つて宜《よ》くのめのめと増長《ぞうちやう》して私《わたし》を出すと云《い》つたね。梅喜《ばいき》は天窓《あたま》を両手《りやうて》で押《おさ》へ、梅「はあア誠に面目次第《めんぼくしだい》もない、お前《まへ》が次《つぎ》の間《ま》に居《ゐ》やうとは知らず、誠に済《す》まない……。女房《にようばう》は暫《しばら》く泣伏《なきふ》し涙を拭《ぬぐ》ひつゝ、竹「どうも本当に呆《あき》れちまつたね、私《わたし》は死にます……何《なに》を押《おさ》へるんだ、放《はな》しておくれ。と止める手先《てさき》を振切《ふりき》つて戸外《そと》へ出る途端《とたん》に、感が悪いから池の中へずぶり陥《はま》りました。梅「おゝ……お竹《たけ》や/\。竹「何《なん》だよ、しつかりお為《し》よ、梅喜《ばいき》さん/\、お起《お》きよ。と揺《ゆ》り起《おこ》され、欠伸《あくび》をしながら手先《てさき》を掻《か》き、梅「ハアー……おや燈火《あかり》
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