さま》にも何時《いつ》もお変りなく、一寸《ちょっと》伺いたく思いやすが、何分にも些《ち》と訳あって取紛《とりまぎ》れまして御無沙汰致しましたが、段々承れば宿屋店《やどやみせ》をお出しなすったそうで、世界も変れば変るもので、春見様が宿屋になって泊り客の草履《ぞうり》をお直しなさるような事になって、誠にお傷《いた》わしいことだ、それを思えば助右衞門などは何をしても好《い》い訳だと思って、忰《せがれ》や娘に意見を申して居ります、旦那様もお身形《みなり》が変りお見違《みち》げえ申す様《よう》になりました、誠にまアあんたもおふけなさいました」
丈「こう云う訳になって致方《いたしかた》がない、前橋の方も尋ねたいと思って居たが、何分貧乏暇なしで御無沙汰になった、よく来た、どうして出て来たのだ」
助「はい、私《わし》も人に損を掛けられて仕様がねい、何かすべいと思っていると、段々聞けば県庁が前橋へ引けるという評判だから、此所《こゝ》で取付《とりつ》かなければなんねいから、洋物屋《ようぶつや》をすれば、前には唐物屋《とうぶつや》と云ったが今では洋物屋と申しますそうでござりやすが、屹度《きっと》当るという人
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