うぼ》に貰いたいと云ってるんだが、只《たっ》た一晩でお金を五円あげるとさ、私《わたし》ゃア誰にも云わないよ、丁度今二階に棟梁が来て居るから往って御覧、好《よ》い男だよ」
ま「それでは其のお方様に私が身を任せれば、お金を五円下さいますか、そうすれば其の内三円お返し申しますからどうか観音様を返して下さいまし」
虎「それは直《すぐ》にお厨子はお返し申しますがね、そんなら少し待っておいで」
と婆《ばゞあ》はみし/\と二階へ上《あが》ってまいりまして。
虎「棟梁、フヽフン、彼《あ》の子も苦し紛《まぎ》れに往生して、親の為になる事なら旦那を取ろうと得心をしたよ、ちょいと今あの子も切迫詰《せっぱつま》り、明日《あす》に困る事があるのだが、拾円のお金を遣《や》っておくれな」
清「それは遣るよ」
虎「彼《あ》の子の云うには、私もねえ元は立派な御用達《ごようたし》の娘でございますから、淫売《じごく》をしたと云われては世間へ極《きま》りが悪いから、惚合《ほれあ》って逢ったようにして、□[#底本1字伏字]寝をされた事は世間へ知れない様にして下さいと云うから其の積りで、そうして棟梁も拾円|遣《や》ったなんぞ[
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