ない奴だよ」
ま「叔母《おば》さんがお出《い》でなさらないと私《わたくし》はどう仕ようかと思いました、毎度|種々《いろ/\》御贔屓《ごひいき》になりまして有り難うございます」
虎「時にねえまアちゃんや、私《わたし》ゃ悪い事は云わないから、此間《こないだ》話した私の主人同様の地主様で、金貸《かねかし》で、少し年は取っていますが、厭《い》やなのを勤めるのが、そこが勤めだから、厭《いや》でも応《うん》と云って旦那の云うことを聞けば、お母《っか》さんにも旨い物を食べさせ、好《い》いものを着せられ、お前も芝居へも往《ゆ》かれるから、私の金主《きんしゅ》で大事の人だから、彼《あ》の人の云うことを応《うん》と聞いて囲者《かこいもの》におなりよ」
ま「有り難う存じますが、なんぼ零落《おちぶ》れましても、まさかそんな事は出来ません」
虎「まさかそんな事とは何《なん》だえ、それじゃアどう有っても否《いや》かえ」
ま「私《わたくし》も元は清水と申して、上州前橋で御用達《ごようたし》をいたしました者の娘、如何《いか》に零落《おちぶ》れ裏店《うらだな》に入っていましても、人に身を任せて売淫《じごく》同様な真似を
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