ないようにするがいゝ、お連れがあるようですね」
清「重二郎さん、此方《こっち》へお這入《はい》り」
重「誠に久しくお目にかゝりませんでした」
丈「おや/\清水の息子さんか、此間《こないだ》は折角お出《い》でだったが、取込《とりこ》んでいて失敬を云って済みません、何かえ清次さんのお連《つれ》かえ」
清「旦那え、私《わっち》が前橋にくすぶって居りましたとき、清水さんの御厄介になりました、その若旦那で、今は零落《おちぶ》れて直《じ》き亀島町にお出《い》でなさるのを聞いて驚きましたから、其様《そんな》にぐず/\していないで、春見様は直《じ》き此の向うにいて立派な御身代になっておいでなさるから、お父《とっ》さんがお預け申した金を返《けえ》してお貰い申すがいゝじゃないかと云っても、若いお方ですから、ついおっくう[#「おっくう」に傍点]がってお在《いで》なさるから、今日は私《わっち》がお連れ申しましたが、どうか七年|前《あと》の十月の二日にお預け申した三千円の金はお返しなすって下さい」
丈「なに三千円、僕が預かった覚えはないが、どう云う訳で重二郎殿が清次さんお前さんにそんな事を云ったのだえ」
清「へ
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