いから、どうか思い切って下さい」
い「お前さんの御迷惑になるような事なら思切《おもいき》りますけれど、お前さんの御迷惑にならないように死にさえすればようございましょう」
重「どうかそんな事を云わねえで死ぬのは事の分るまで待って下さい、後《あと》で成程と思う事がありますから、どうか二三日《にさんち》待って下さい、久しく居《い》るのも親の位牌《いはい》に済みませんから」
 と云いながら起《た》とうとするを、
い「まア待って下さい」
 と袖に縋《すが》るのを振切《ふりき》って往《ゆ》きますから、おいさは欄干《らんかん》に縋って重二郎を見送りしまゝ、ワッとばかりに泣き倒れました所へ、お兼が帰ってまいり、漸々《よう/\》労《いた》わり連立《つれだ》って家《うち》へ帰りました。すると丁度其の暮《くれ》の十四日の事で、春見は娘が病気で二三日《にさんち》食が少しもいかないから、種々《いろ/\》心配いたし、名人の西洋医、佐藤先生や橋本先生を頼んで見て貰っても何《なん》だかさっぱり病症が分らず、食が少しもいきませんから、流石《さすが》の悪者《わるもの》でも子を思う心は同じ事で、心配して居ります所へ。
男「
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