して、これは繁昌《はんじょう》で、其の湯に入ると顔が玉のように見えると云うことでございます」
助「東京へは久しぶりで出てまいって、それに又様子が変りましたな、どうも橋が石で出来たり、瓦《かわら》で家《うち》が出来たり、方々《ほう/″\》が変って見違えるように成りました、その温泉は何処《どこ》らでがんすか」
又「此処《こゝ》をお出《い》でになりまして、向うの角《かど》にふらふ[#「ふらふ」に傍点]が立って居ります」
助「なんだ、ぶら/\私《わし》が歩くか」
又「なアに西洋床《せいようどこ》が有りまして、有平《あるへい》見た様《よう》な物が有ります、その角に旗が立って居りますから、彼処《あすこ》が宜しゅうございます」
助「私《わし》はこれ髻《まげ》がありますから、髪も結《ゆ》って来ましょうかねえ」
又「行って入らっしゃいまし、残らず置いて入らっしゃいまし」
丈「証書の入った紙入を持って行って、板の間に取られるといけないよ」
助「板の間に何が居りますか」
丈「なアに泥坊がいるから取られてはいけん」
助「これはまア私《わし》が命の綱の証文だから、これは肌身離されません」
主「それでも湯に入るの
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