本御面倒でも戴きたいもので」
丈「成程これはお前の方で云わぬでも当然の事で、私の方で上げなければならん、只今書きましょう」
と筆を取って金《きん》三千円確かに預かり置く、要用《よう/\》の時は何時《なんどき》でも渡すという証文を書いて、有合《ありあわ》した判をぽかりっと捺《お》して、
丈「これで好《い》いかえ」
助「誠に恐入ります、これでもう大丈夫」
とこれを戴いて懐中物の中へ入れます。紙入《かみいれ》も二重になって居て大丈夫なことで、紙入も落さんようにして、
助「大宮から歩いて参りまして草臥《くたび》れましたから、どうかお湯を一杯戴きたいもので」
又「誠に済みませんが、※[#「※」は「「箍」で下「手へん」のかわりに「木へん」をあてる」、486−11]《たが》が反《は》ねましてお湯を立てられません、それに奉公人が居りませんから、つい立てません、相済みませんが、此の先《さ》きに温泉がありますから、どうかそれへお出《い》でなすって下さい」
助「温泉というと伊香保《いかほ》や何かの湯のような訳でがんすか」
又「なアに桂枝《けいし》や沃顛《よじいむ》という松本先生が発明のお薬が入って居りま
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