ど》を明けて中へ這入《はい》り、菰《こも》を布《し》き、睾丸火鉢《きんたまひばち》を入れ、坐蒲団《ざぶとん》を布きましたから、其の上に清次は胡座《あぐら》をかき。
清「用があったら呼ぶから、もういゝや」
竹「時々茶でも持って来ようかねえ」
清「一生懸命の事だから来ちゃアいけねえ」
と云われ、竹は其の儘《まゝ》そっと出て往《ゆ》く。隣りは又作の住《すま》いですが、未《ま》だ帰らん様子でございます、暫《しばら》くたつと、がら/\下駄を穿《は》いて帰って参り、がらりとがたつきまする雨戸を明けて上へあがり、擦附木《すりつけぎ》でランプへ火を点《とも》し、鍋焼饂飩《なべやきうどん》の荷の間から縁《へり》のとれかゝった広蓋《ひろぶた》を出し、其の上に思い付いて買って来た一升の酒に肴《さかな》を並べ、其の前に坐り、
又「何時《いつ》まで待っても来《こ》んなア」
と手酌《てじゃく》で初める所を、清次はそっと煙管《きせる》の吸口《すいくち》で柱際《はしらぎわ》の壁の破れを突《つッ》つくと、穴が大きくなったから。破穴《やぶれあな》から覘《のぞ》いていますが、これを少しも知りませんで、又作はぐい飲み、猪
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