で使用《つかっ》た金はありゃア何処《どこ》から持って来た金だ」
勘「むゝ、彼《あれ》ア、…バ……」
伴「何を愚図/\言って居やアがるんだえ」
勘「へい、何《な》んで、賭博《ばくち》に勝ちましたので」
伴「なにー、博賭《ばくち》に勝ったと、馬鹿ア云え、汝《てめえ》の様なケチな一文賭博をする奴が古金《こきん》で授受《とりやり》をするかえ、有体《ありてい》に申上げろ」
勘「マ、全く博賭に勝ったに違《ちげ》えござえません」
伴「何処《どこ》の博賭場で勝ったんだ」
勘「ムヽ、カ、カ、神田の牧《まき》様の部屋で何《な》んしまして、小川町《おがわまち》の土屋《つちや》の……」
伴「黙れ、尋常に申し上げろい、幾ら隠したって役にア立たねえから、何処で盗んだか云えよ」
勘「いえ全く其のカ、カ、勝ったんで」
伴[#「伴」は底本では「勘」と誤記]「これ勘次、汝《てめえ》其様《そん》な事を愚図/\云ったって役にゃア立たねえ早く云っちめえ」
勘「いえ……その…全く勝ったんで」
伴「云わねえな、何うしても此奴《こいつ》ア云わねえから打《ぶ》て/\」
○「お慈悲深い旦那だから本当の事を喋って其の上でお慈悲を願え、お前《めえ》だって万更《まんざら》素人《しろうと》じゃアなし、好《い》い道楽者じゃアねえか」
伴「ええや、しめろ/\」
とピシーリ/\叩かれるから直《すぐ》に口が開《あ》いて、実は五斗兵衞市の処に食客《いそうろう》に居る中《うち》に裏に小間物屋孫右衞門[#「孫右衞門」は底本では「孫兵衞」と誤記]と云う者が居て、孫右衞門[#「孫右衞門」は底本では「孫兵衞」と誤記]の娘のお筆が私に礼をすると云って巾着をすべらし、金の出たのを見て不図した出来心から全く盗んだに相違ございません。と白状を致しましたから直に京橋鍛冶町の小間物屋孫右衞門[#「孫右衞門」は底本では「孫兵衞」と誤記]方へ踏込《ふみこみ》娘お筆が縄に掛って引かれたは何《なん》とも云えぬ災難でございます。何《ど》う云う事やら訳が分らず腰の抜けて居る孫右衞門[#「孫右衞門」は底本では「孫兵衞」と誤記]は大屋さん何う云うもんで。と泣いて許《ばか》り居りますから長屋の者が来ては色々に賺《なだ》めますけれども中々愚痴が止みません。五斗兵衞市の姐御は気の毒でなりませんから、
○「私の処へ無頼《やくざ》な食客《いそうろう》
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