少し怖くなりましたから、こそ/\と台所から帰ってしまいました。
 新「困るね、えゝ、おい師匠|何うしたんだ、冗談じゃアねえ、顔から火が出たぜ、生娘《きむすめ》のうぶ[#「うぶ」に傍点]な娘《こ》に彼様《あん》な事を云って、面目無《めんぼくなく》って居られやアしない」
 豐「居られますまいよ、顔が見たけりゃア早く追駈《おっか》けてお出で」
 新「あゝいう事を云うのだもの」
 豐「私の顔は斯んな顔になったからって、お前がそういう不人情な心とは私は知りませんだったよ」
 新[#「新」は底本では「豐」]「何を云うのだね、誠に仕様がねえな、些《ちっ》と落付いてお寝よ」
 豐「はい寝ましょうよ」
 新吉は仕方がないから足を摩《さす》って居りますと、すや/\疲れて寝た様子だから、いゝ塩梅だ、此の間に御飯でも喫《た》べようと膳立《ぜんだて》をしていると這出して、
 豐「新吉さん」
 新「何《なん》だい、肝《きも》を潰《つぶ》したねえ」
 豐「私が斯んな顔で」
 新「仕様がねえな冷《ひえ》るといけないからお這入りよ」
 と云う塩梅、よる夜中《よなか》でも、いゝ塩梅に寝附いたから疲れを休めようと思って、ご
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