婦とも息は絶々《たえ/″\》に成りました時に、宗觀は、
宗「あゝ、お父《とっ》さんを殺したのはお前たち二人とは知らなかったが、思い掛けなくお父さんの敵が知れると云うのは不思議な事、また兄《あに》さんや姉《あね》さんを殺した安田一角の隠れ家を知らせて下され、斯《こ》んな嬉しい事はありませんから決して悪《にく》いとは思いません、早く苦痛のないようにして上げ度《た》い」
と云いながら後《うしろ》をふりかえると、音助はブル/\して腰も立たないように成って居ました。
宗「お父《とっ》さんや兄さん姉さんの敵は知れたが、小金原の観音堂でお母《っか》さんを殺した敵はいまだに分らないが、悪い事をする奴の末始終は皆|斯《こ》ういう事に成りましょう」
というのを最前から聞いていましたお熊比丘は、袖もて涙を拭《ぬぐ》いながら宗觀の前へ来て、
尼「誠に思い掛けない、宗觀|様《さん》お前《まい》さんかえ」
宗「へえ」
尼「忘れもしない三年跡の七月小金原の観音堂でお前《まい》さんのお母さんを縊《くび》り殺し、百二十両と云う金を取ったは此のお熊比丘尼でございますよ」
宗「エヽこれは」
と宗觀も音助も
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