さんの姉様《あねさん》豊志賀さんが来てね、たった一人の妹でございますから大事に思うが、こんな稼業《しょうばい》をして居り、家《うち》も離れているから看病も届きませんでしたが、お前さんが丹精して下すって本当に有難い、その御親切は忘れません、お前さんの様な優しい人を園の亭主に持《もた》し度《た》いと思いますとこう云ってね、お前の姉《あね》さんが、流石《さすが》は芸人だけあって様子のいゝ事を云うと思ったが、余程《よっぽど》嬉しかったよ」
 園「いけませんネ、奥も先刻《さっき》お退けになりましたからお店へお出でなさいよ」
 新「行きますよ、お園どん誠に私は本当に案じたがね」
 園「有難うござますよ」
 新「弁天様へ一生懸命に二十一日の間私が精進して山田様も本当に親切にしてくれたがね、私は真赤に酔っていますか」
 園「真赤でございますよ、彼方《あっち》へお出でなさいよ」
 新「そんなに追出さんでもいゝやね、お園どん、伊勢茂の番頭さんが、流山の滅法よい味淋をお前にと云うので私は口当りがいゝから恐ろしく酔った、私はこんなに酔った事は初めてゞ私の顔は真赤でしょう」
 園「真赤ですよ、先刻《さっき》お店
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