て仕舞ったよ、十三年|後《あと》に深川の櫓下の花屋へ置去《おきざり》にして往《い》かれた娘のお賤だよ」
と云われて尼は恟《びっく》りし、
尼「えゝ、まアどうも、誠に面目次第もない、私も先刻《さっき》から見た様な人だと思ってたが、顔貌《かおかたち》が違ったから黙ってたが、どうも実に私は親子と名乗ってお前に逢われた義理じゃアありませんが、頭髪《あたま》を剃《す》って斯《こ》んな身の上になったから逢われますものゝ、定めて不実の親だと腹も立ちましょうが、どうぞ堪忍して下さいあやまります」
賤「それでも能く後悔してね」
尼「此の通りの姿になって、まア此の庵室に這入って、今では毎日お経を上げた後《あと》では観音様へ向って、若い時分の悪事を懺悔してお詫び申していますけれども、中々罪は消えませんが、頭髪《あたま》を剃《す》って衣を着たお蔭で、村の衆《しゅ》がお比丘《びく》様とか尼様とか云って、種々《いろ/\》喰物《たべもの》を持って来て呉れるので、何《ど》うやら斯《こ》うやら命を繋《つな》いでいるというだけのことで、此の頃は漸々《よう/\》心附いて、十六の時置去にしたお賤はどうしたかと案じてい
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