仰しゃったくらい、人は何といっても訝《おか》しい事がなければ宜しいから、今薬を煎じて上《あげ》るから心配しないで、心配すると病気に障るからね」
園「あゝだもの新どんには本当に困るよ、厭だと思うのにつか/\這入って来てやれこれ彼様《あんな》に親切にしてくれるが、どういう訳かぞっとするほど厭だが、何《ど》うしてあの人が厭なのか、気の毒な様だ」
と種々《いろ/\》心に思って居ると、杉戸《すぎど》を明けて、
新「お園どんお薬が出来たからお飲みなさい、余《あんま》り冷《さま》すときかないから、丁度飲加減を持って来たが、後《あと》は二番を」
園「新どん、お願いだから彼方《あっち》へ行って下さいな、病気に障りますから」
新「ヘエ左様でげすか」
と締めて立って行《ゆ》く。
園「どうも、来てはいけないと云うのに態《わざ》と来るように思われる、何だか訝《おか》しい変な人だ」
と思って居ると、がらり、
新「お園どんお粥が出来たからね、是は大変に好《い》いでんぶを買って来たから食べてごらん、一寸《ちょっと》いゝよ」
園「まア新どんお粥は私一人で煮られますから彼方《あっち》へ行って下さいよ、
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