作「え、三十両本当に己ア金運《かねうん》が向いて来た、じゃア金をくんろえ、してどういう理窟だ」
新「三藏とは一旦兄弟とまでなったが、お累が死んでからは、互《たげ》えに敵《かたき》同志の様になったのだ」
作「敵同志だって汝《おめえ》が三藏を怨むのアそりゃア兄い些《ち》と無理だんべえ、成程お賤さんの前《めえ》もあるから、そういうか知んねえが、三藏を敵と思《おめ》えば無理だぞ、お前《めえ》が養子に往っても男振が宜《い》いもんだから、お賤さんに見染められ、互《たげ》えに死ぬの生《いき》るのと騒ぎ合い、お累さんを振捨てゝお賤さんとこういう事になったから、お累さんも上《のぼ》せて顔が彼様《あんな》に腫れ出して死んで了《しま》ったのだから、却《かえ》って三藏の方でお前を怨んでいるだろうが、何もお前の方で三藏を悪《にく》み返すという理合《りあい》はあんめえぜ」
新「汝《てめえ》は深い事を知らねえからそんな事をいうんだが、何《なん》でも構わねえ、己が三藏に逢って、百両でも二百両でも無心をいって見ようと思うのだ」
作「三藏|殿《どん》がお前《めえ》に金を貸す縁があるかえ」
新「貸しても宜《い》い
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