園さんは大分|好《よ》い塩梅だが、まだ中々大事にしなければならん、どうも少し傷寒《しょうかん》の性《たち》だから大事にするようにと仰しゃって、今日はお加減が違いましたからこれから煎じます」
 惣「お前が看病致しますか」
 新「ヘエ」
 惣「お前の事だから何事もありますまいがネけれどもその、お前もそれ廿一、ね、お園は十九だ、お互に堅いから何事も無かろうが、一体|男女《なんにょ》の道はそういうものでない、私の家《うち》は極《ご》く堅い家であったけれども、やっぱりこれにナ許嫁《いいなずけ》が有ったが、私がつい何して、貰うような事で」
 きわ「何を仰しゃる」
 惣「だから堅いが堅いに立たぬのは男女の間柄、何事もありはしまいが、店の若い者がおかしく嫉妬《やきもち》をいうとか、出入の者がいやに難癖を附けるとか、却って店の示しにならぬからよろしくないいかにも取締りが悪い様だからそれだけはナ」
 新「ヘエ薩張《さっぱり》心付きませんかったが、店の者が女部屋へ這入っては悪うございますか、もうこれからは決して構いませんように心づけます、決して構いません」
 惣「決して構わんでは困ります、看病人が無いから決
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