ぶり返すといかんから看病人に姉でも呼ぼうか」
きわ「でも仕合せに新五郎が参っては寝ずに感心に看病致します、あれは誠に感心な男で、店がひけると薬を煎じたり何か買いに行ったり、何も彼《か》も一人で致します」
惣「なに新五郎がお園の部屋へ這入ると、それはいかん、それは女部屋のことはお前が気を附けて小言を云わなければなりません、それは何事も有りはしまいが」
きわ「有りはしまいたって新五郎はあの通りの堅人《かたじん》ですし、お園も変人ですから、変人同士で大丈夫何事もありはしません」
惣「それはいかん、猫に鰹節で、何事がなくっても、店の者や出入《でいり》の者がおかしく噂でも立てると店の為にならぬから、きっと小言を云わんければならぬ」
きわ「それじゃア女中部屋へ出入を止《と》めます」
と云って居る所へ、何事も存じません新五郎が帰って来て、
新「ヘエ只今帰りました」
惣「何処《どこ》へ往った」
新「番頭さんがそう仰しゃいますから、上野町《うえのまち》の越後屋《えちごや》さんの久七《きゅうしち》どんに流れの相談を致しまして、帰りにお薬を取って参りましたが、山田さんがそう仰しゃるには、お
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