せよ、拳骨でよ、あゝ痛い/\」

        八十一

 女「何《なん》だか大層|呻《うな》る声が聞えるが……貴方かえ」
 母「へえ、旅の者《もん》でござえますが、道中で塩梅《あんべえ》が悪くなりましてね、快くなえうち歩いて来ましたから、原|中《なけ》え掛って寸白が起って痛《いと》うごぜえますから、観音様のお堂をお借り申しました」
 女「それはお困りだろう、お待ち、どれ/\此方《こっち》へ這入りなさい」
 と観音堂の木連格子《きつれごうし》を明けると、畳が四畳敷いてございます。其の奥は板の間になって居ります、年の頃五十八九にもなりましょう、色白のでっぷりした尼様、鼠木綿の無地の衣を着て、
 尼「さア此方《こちら》へお這入りさア/\擦《さす》って上げましょう憫然《かわいそう》に、此の子が小さい手で押しても、擦っても利きはしない、おゝ酷《ひど》く差込んで来る様だ」
 母「有難うごぜえます、痛くって堪《たま》らねえでね、宿屋へ一寸泊りましたが癒らねえで」
 尼「こう苦《くるし》むに子供を連れて何処《どこ》まで……なに塚前まで、是から三里ばかりで近くはない、薬はお持ちかえ」
 母「はい、薬
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