ましたか」
母「今何まで使《つかい》に遣《や》ったゞ、何処まで行ったかのう、又水街道の方へ廻ったか知んなえ、じき横曾根まで遣ったがね」
花「御新造さん、留守かえ、そんなら話をしますが、あの富五郎という奴は、べちゃくちゃ世辞をいう口前《くちまえ》の好《い》い人だね、実は私《わし》はね、人には云わないが旦那の殺されたばかりの処へ通り掛った処が、丁度廿五日で真暗《まっくら》だ、私がずん/\行《ゆ》くと、向《むこう》から頭巾を被《かぶ》った奴が来やアがる様子だから、はて斯《こ》んな林に胡散《うさん》な奴がおる、ことに依《よ》ったら盗賊かと思うたから、油断せずに透《すか》して見ると、其奴《そいつ》が脇道へ曲って、向《むこう》へこそ/\這入って行《ゆ》くから、何《なん》でもこれは怪しいと思うて、急いで来ると、私の下駄で蹴付《けつ》けたのは脇差じゃ、はて是は脇差じゃが何《ど》うして此処《こゝ》に在《あ》るかと思うて、見ると向からワイ/\とお百姓が来まして、高声《たかごえ》上げて、あゝ情ないもう少し早かったらこんな事にはならぬ、無惨なことをした、情ないことをしたというから、こいつしまった、そんなら
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