を知らずにいるか、汝《われ》知っているか、返答ぶて」
 富「どうも、私《わたくし》前後忘却致し、酔っておりまして、はっというとお隅さんで、恐入りました、無暗《むやみ》に御打擲で血が出ます」
 母「頭ア打砕《ぶっくだ》いても構わねえだ、汝《われ》恩を忘れたか、此の夏の取付《とりつけ》に瓜畑へ這入《へえ》って瓜イ盗んで、生埋にされる処を、家《うち》の惣次郎が情け深《ぶけ》えから助けて、行《ゆ》く処もねえ者に羽織イ着せたり、袴《はかま》ア穿かして、脇へ出ても富さん/\といわれるは誰がお蔭か、皆《みんな》惣次郎が情深《なさけぶけ》えからだ、それを惣次郎の女房に対して調戯《からか》って縋付《すがりつ》いて、まア何《なん》とも呆れて物ういわれねえ、義理も恩も知らねえ、幾ら酔《よっ》ぱらったって親の腹へ乗る者ア無《ね》えぞ呆れた、酒は飲むなよ好《よ》くねえ酒癖だから廃《よ》せというに聴かねえで酔ぱらっては帰《けえ》って来《き》やアがって、只《たっ》た今|逐出《おいだ》すから出ろえ、怖《おっか》ねえ、お前の様な者ア間違《まちげえ》を出かします、こんな奴は只た今出て行《ゆ》け」
 富「お腹立様では何《な
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