り掛って騒ぎ、名主へも届けたが、甚藏は平素《ふだん》悪《にく》まれもの、何うか死んで呉れゝばいゝと思っていた処、甚藏が絹川べりで鉄砲で撃殺《うちころ》されているというのを村の人達が聞込んで、アヽ是からは安心だ、甚藏が死ねば村の者が助かるまでよと歓び、其の儘名主様へ届けて法蔵寺に葬ったが、投込み同様、生きている中《うち》の悪事の罰で、勿論|悪徒《わるもの》ですから誰の所業《しわざ》と詮議して呉れる者も有りません。新吉お賤の逃去りましたのは固《もと》より不義|淫奔《いたずら》をしていて名主様が没《なくな》ると、自分達は衣類や手廻りの小道具何や彼《か》やを盗んでいなく成ったに相違ない。彼《あれ》は素《もと》より浮気をしていた者の駈落だから左《さ》もあるべしと、是も尋ねる者もないので何事も有りませんが、名主惣右衞門の変死は誰《たれ》有って知る者は無い。肝腎の知っている甚藏が殺されましたから、惣右衞門は全く病死したのだと心得て居りますが、中には疑がっている者も有りまして、様々いうが、マア名主の跡目は忰《せがれ》惣次郎、誠に柔和温順の人でお父《とっ》さんは道楽のみを致しましたが、それには引きかえ惣
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