」
新「斬払えたって出れば殺される」
賤「大丈夫だよ、戸外《おもて》へ連れて行って堤《どて》の上で」
とぐず/″\云っているうちずか/″\と飛込んで縁側へ片足踏かけました甚藏は、出ようとする新吉の胸ぐらを把《と》って
甚「己《うぬ》、いけッ太《ぷて》え奴、能くも彼《あ》の谷へ突落しやアがったな、お賤も助けちゃア置かねえ能くも己《おれ》を騙《だま》しやアがったな、サア出ろ、いけッ太え奴だ、お賤の女《あま》も今見ていろ」
と堤の上へ引摺《ひきず》って行《ゆ》こうとする、此方《こちら》は出ようとする、向《むこう》は引くから、ずる/\と土手下へ落ちたから、
新「ウム、後生だから助けて、兄い苦しい、己の持っている金は皆《みんな》お前《めえ》に、これさ兄い、何も彼《か》もみんなお前にやるから何《ど》うか堪忍して、然《そ》ういう訳じゃアねえ、行間違《ゆきまちが》いだから」
甚「糞でも喰《くら》え、なに痛《いて》えと、ふざけやアがるな」
と力を入れて新吉の手を逆に把《と》って捻《ねじ》り、拳固《げんこ》を振り上げてコツ/\撲《ぶ》ったから痛いの痛くないのって、眼から火の出るようでござい
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