る奴が有るもんか、そんなら直《すぐ》に出せ」
 新「今は無いから晩方までに持って行《ゆ》くよ」
 甚「じゃア屹度持って来い」
 新「今に持って行《ゆ》くから、ギャア/\騒がねえで、実は、己がまだお賤に喋らねえからだよ、当人が知らねえのだからよ」
 甚「コレ、博奕の仲宿とは何《なん》だ、太《ふて》え女《あま》っちょだ」
 新「そんな大きな声を」
 甚「屹度持って来い、来ねえと了簡が有るぞ」
 新「何ごと置いても屹度金は持って行《ゆ》くよ、驚いたねえ」
 賤「おい新吉さん、何《な》んだって彼奴《あいつ》にへえつくもうつく[#「へえつくもうつく」に傍点]するのだよ、お前がヘラ/\すると猶《なお》増長すらアね」
 新「何《ど》うしてもいけないよ、貸さなけりゃア成らねえ」
 賤「何《なん》で彼奴《あいつ》に貸すのだえ」
 新「何《なん》だって、いけねえ事に成って仕舞った、旦那の湯灌の時|彼奴《あいつ》が来やアがって、一人じゃア出来ねえから手伝うといって、仏様を見ると、咽喉頸《のどっくび》に筋が有るのを見付けやがって、ア屹度《きっと》殺したろう、殺したといやア黙ってるが云わなけりゃア仏様を本堂へ持
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