困ってるのだ」
甚「困るたって新吉、一人で湯灌は馴れなくっては出来ねえ、おい、それじゃアいかねえ、内所で己が手伝って遣ろうか」
新「じゃア内所で遣ってくんねえ」
四十八
甚「弓張《ゆみはり》なざア其方《そっち》の羽目へ指しねえな、提灯《ちょうちん》をよ、盥《たれえ》を伏せて置いて、仏様の腋《わき》の下へ手を入れて、ずうッと遣って、盥の際《きわ》で早桶を横にするとずうッと足が出る、足を盥の上へ載せて、胡坐《あぐら》をかゝせて膝で押《おせ》えるのだ、自分の胸の処へ仏様の頭を押付《おっつ》けて、肋骨《あばらぼね》まで洗うのだ」
新「一人じゃア出来ねえ」
甚「己は馴れていらア、手伝って遣ろう」
新「何《ど》う」
甚「何うだって盥《たれえ》を伏せるのだよ、提灯《ちょうちん》を其方《そっち》へ、えゝ暗《くれ》え心《しん》を切りねえ、えゝ出しねえ、出た/\オヽ冷てえなア、お手伝いでござえ、早桶をグッと引くのだ」
新「何う」
甚「何うたってグッと力に任して、えゝ気味を悪がるな」
新「あゝ出た/\」
甚「出たって出したのだ、さア胡座《あぐら》をかゝせな、盥《たれ
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