合いません間に合わない訳で、殺した奴が知らしたのでございますから。是非なく是から遺言状をというので出して見ると、其の書置《かきおき》に、私は老年の病気だから明日《あす》が日も知れん、若《も》し私が亡《な》い後《のち》は家督相続は惣二郎、又弟惣吉は相当の処へ惣二郎の眼識《めがね》を以て養子に遣って呉れ、形見分《かたみわけ》は是々、何事も年寄作右衞門と相談の上事を謀《はか》る様、お賤は身寄頼りもない者、無理無体に身請をして連れて来た者であるから、私が死ねば皆《みんな》に憎まれて此の土地にいられまいから、元々の通り江戸へ帰して遣ってくれ、帰る時は必ず金を五十両付けて帰してくれ、形見分はお賤に是々、新吉は折々見舞に来る親切な男なれども、お賤と中がよいから、村方の者は密通でもしている様に思うが、彼《あれ》は江戸からの親《ちか》しい男で、左様な訳はない、親切な者で有る事は見抜いているから、己が葬式は、本葬は後《あと》でしても、遺骸を埋《うず》めるのは内葬にして、湯灌《ゆかん》は新吉一人に申し付ける、外《ほか》の者は親類でも手を付ける事は相成らぬ。という妙な書置でございますが、田舎は堅いから、其の通
前へ 次へ
全520ページ中255ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング