出来ました、お累さんが飛んだ事になりましたから方々《ほう/″\》捜して居たんだ、直《すぐ》に帰《けえ》って下せえ」
作「誰だか」
新「誰だか見な」
作「怖くって外へは出られねえ、皆《みんな》此処《こゝ》に居るだけれども、中々歩く訳にいかねえ、足イすくんで歩かれねえ」
四十六
新「何方《どなた》でございます」
とガラリと明けて見ると村の者。
男「やア新吉さん、居たか、あゝ好《よ》かった、さア帰《けえ》って、気の毒とも何《なん》とも姉御の始末が付かねえ、何《ど》うも捜したの捜さねえのって直ぐ帰《けえ》らないではいけねえ、届ける所へ届けて、名主様へも話イしてね、困るから、さア帰《けえ》って」
と云われ、新吉は何《なん》の事だかとんと分りませんが、致し方なく夜明け方に帰りますると、情ないかな、女房お累は、草苅鎌の研澄《とぎすま》したので咽喉笛《のどぶえ》を掻《かき》切って、片手に子供を抱いたなり死んで居るから、ぞっとする程凄かったが、仕方がないから気が狂《ちが》ってなどと云立て、先《ま》ず名主へも届けて野辺送りをする事になりました。それからは懲りて三藏も中々容
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