って下さいませんか」
三「もうそんな事をおいいでないよ、お母様もまた是非来たがって居るのだからお連れ申す様にしましょう、其様《そん》な事をいわずにくよ/\せずに、さア/\蚊帳の中へ這入って居なよ」
與「大丈夫《でえじょうぶ》だよ、お母様ア己が連れて来るよ、其様な事を云うと悲しくって帰《けえ》れねえから這入ってお呉んなさえよ、ア、赤ん坊が泣くよ、憫然《かわいそう》に本当に泣けねえ」
三「アヽ鼻血が出た、與助、男の鼻血だから仔細はあるまいけれども、盆凹《ぼんのくぼ》の毛を一本抜いて、ちり毛を抜くのは呪《まじねえ》だから、アヽ痛《いて》え、其様《そんな》に沢山抜く奴があるか、一掴《ひとつかみ》抜いて」
與「沢山《たんと》抜けば沢山|験《き》くと思って」
三「えゝ痛いワ、さあ/\行きますよ」
と名残《なごり》惜《おし》いが、二人とも外へ出ると生憎《あいにく》気になる事ばかり。
三「アヽ痛」
與「何《ど》うかしましたかえ」
三「下駄の鼻緒が切れた」
與「横鼻緒が切れましたか、ヘエ」
三「與助何うも気になるなア、お累の病気はとても助かるまいよ」
與「ヘエ助かりませんか、憫然
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