た、ついお前の身の上を思うばっかりに愚痴が出て、病人に小言を云って、病に障る様な事をして、兄《あに》さんが思い切りが悪いのだから、皆定まる約束と思って、もう何《なん》にも云いますまい、小言を云ったのは悪かった、堪忍して」
 與「誰エ小言云った、能くねえ事《こっ》た、貴方《あんた》正直だから悪《わり》い、此の大病人《たいびょうにん》に小言を云うってえ、此の馬鹿野郎め」
 三「何《なん》だ馬鹿野郎とは」
 與「けれども小言を云ったって、旦那様もお前様《めえさま》の身を案じてねえ、新吉さんと手が切れて家《うち》へ帰《けえ》れるようにしたいと思うから意見を云うので、悪く思わねえ様に、よう/\」
 三「蚊帳を持って来たから釣りましょう、恐ろしく蚊に喰われた、釣手があるかえ」
 累「釣手は売られないから掛って居ります」
 三「そうか」
 と漸《ようや》く二人で蚊帳を釣って病人の枕元を広くして、
 三「あのね、今帰り掛けで持合せが少ないが、三両|許《ばか》りあるから是を小遣に置いて行《ゆ》きましょう、私も諦らめてもう何も云いません、若《も》し小遣が無くなったら誰《たれ》か頼んで取りによこしなよう、大
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