でね、あれもお前が小さい時分からの馴染だから、何《ど》うぞ一目逢って来度《きた》いと云って、與助|此方《こっち》へ這入りな」
 與「ヘエ有難う、お累さん與助でござえますよ、お訪ね申してえけれども、旦那にも云う通り、新吉さんが憎まれ口《ぐち》イきくので、つい足イ遠くなって訪ねませんで、長《なげ》え間|塩梅《あんべえ》が悪くってお困りだろう、何様《どん》な塩梅《あんべえ》で、エヽ暗くって薩張分りませんが、些《ちっ》とお擦《さす》り申しましょう、おゝおゝ其様《そん》なに痩《やせ》もしねえ」
 三「それは己だよ」
 與「然《そ》うかえお前《めえ》さんか、暗くって分らねえから」
 三「何しろ暗くって仕様がない、灯《あかり》を点《つ》けなければならん、新吉は何処《どこ》へ行ったえ」
 累「はい有難う、兄《あに》さん能《よ》く入らしって下さいました、お目に掛られた義理ではありませんが、何卒《どうか》もう私も長い事はございますまいから、一眼《ひとめ》お目に掛って死にたいと存じましても、心がらでお招《よ》び申す事も出来ない身の上に成りましたも、皆お兄様《あにいさま》やお母様《っかさま》の罰《ばち》でござ
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