橋を渡って四ツ木通りと頼んだじゃアねえか」
 駕「ヘエ、然《そ》う仰しゃったが、乗出してちょうど門跡前へ来たら、雨が降るから千住へ行って泊るからと仰しゃるので、それから此方《こっち》へ参《めえ》りました」
 新「なんだ、エヽ長《なげ》え夢を見るもんだ、迷子札は、お、有る/\、何《なん》だなア、え、おい若衆《わかいしゅ》/\、咽喉は何《なん》ともねえか」
 駕「ヘエ、何《ど》うか夢でも御覧でごぜえましたか、魘されておいでなせえました」
 新「小用《こよう》がたしてえが」
 駕「ヘエ」
 新「星が出たな」
 駕「ヘエ、好《い》い塩梅《あんべえ》星が出ました」
 新「じゃア下駄を出しねえ」
 駕「是で天気は定《さだ》まりますねえ」
 新「好い塩梅だねえ、おや此処《こゝ》はお仕置場だな」
 と見ると二ツ足の捨札に獄門の次第が書いて有りますが、始めに当時無宿新五郎と書いて有るを見て、恟《びっく》りして、新吉が、段々|怖々《こわ/″\》ながら細かに読下すと、今夢に見た通り、谷中七面前、下總屋の中働お園に懸想《けそう》して、無理無体に殺害《せつがい》して、百両を盗んで逃げ、後《のち》お捕方《とりかた
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