何《なん》だい」
と新吉は僅少《わずか》の金でも溜めて置いて呉れるのかと思いまして、手に取上げて見ると迷子札《まいごふだ》。
新「何《なん》だ是は迷子札だ」
勘「迷子札を今迄肌身離さず持って居たよ、是が形見だ」
新「是はいゝやア、今度生れる子が男だと丁度いゝ、若《も》し女の子か知らないが、今度生れる坊のに仕よう」
勘「坊なぞと云わねえでお前《めえ》着けねえ」
新「少し※[#「箍」の「てへん」に代えて「木」、143−4]《たが》がゆるんだね、大きな形《なり》をしてお守を下げて歩けやアしねえ」
勘「まア読んで見ねえ」
新「エヽ読んで」
と手に取上げて熟々《よく/\》見ると、唐真鍮《とうしんちゅう》の金色《かねいろ》は錆《さ》びて見えまする。が、深彫《ふかぼり》で、小日向服部坂深見新左衞門二男新吉、と彫付けてある故、
新「伯父さん是は何《なん》だねえ私の名だね」
勘「アイ、そのねえ、汚れたね其の布団の上へ坐っておくれ」
新「いゝよう」
勘「イヽエ坐ってお呉れ、お願いだから」
新「はい/\さア私が坐りました」
勘「それから私は布団から下《おり》るよ」
新「アヽ、
前へ
次へ
全520ページ中185ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング