宜《よ》かろうなどと大騒ぎを致すものでございますのに、お累は半面紫色に黒み掛りました上、片鬢《かたびん》兀《はげ》るようになりましたから、当人は素《もと》より母親《おふくろ》も心配して居ります。
 累「あゝ情《なさけ》ない、この顔では此の間法蔵寺で逢った新吉さんにもう再び逢う事も出来ぬ」
 と思いますと是が気病《きやみ》になり、食も進まず、奥へ引籠《ひきこも》ったきり出ません、母親《おふくろ》は心配するが、兄三藏は中々分った人でございますから、
 三「お母様《っかさん》、えーお累は何様《どん》な塩梅でございますねえ」
 母「はアただ胸が支《つか》えて飯が喰えねえって幾ら勧めても喰えねえ/\と云う、疲れるといかねえから些《ちっ》と食ったら宜《よ》かんべえと勧めるが、涙ア翻《こぼ》して己《おら》ア此様《こん》な顔に成ったから駄目だ、何《ど》うせ此様な顔になった位《くれ》えなら、おッ死《ち》んだ方が宜《え》え。と其様《そん》な事べえ云ってハア手におえねえのサ、もっと大《でけ》え負傷《けが》アして片輪になる者さえあるだに、左様《そう》心配《しんぺえ》しねえが宜《え》えと云うが、彼《あれ》は幼《
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