て、訝《おか》しくそんな事を云うのか」
甚「お前《めえ》さん私《わっち》が然う思うくれえなら、鎌は振廻して仕舞わア、大きな声じゃア云えねえが、是は旦那世間の人に知れねえように、私が黙って持って居るその親切を買って二十両、ね、もし、鎌は詰らねえが宜うがすか、お前《めえ》さんと中が悪ければ、酷《ひど》い畜生《ちきしょう》だなんて遣《や》り兼ねえ性質《たち》だが、旦那にゃア時々|小遣《こづけえ》を貰ってる私だから、何《なん》とも思やアしねえがネ、厭《いや》に世間の人が思うから鎌を拾って持って来た、其の親切を買って、えゝ旦那、お前《めえ》さん否《いや》と云えば無理にゃア頼まねえが、私は草苅鎌を二十両に売ろうと云う訳ではねえのサ、親切ずくだからネ、達《たっ》てとは云わねえ、そうじゃアねえか、此の村に居てお前《めえ》の呼吸《いき》が掛らなけりゃア村にも居られねえ、其の時はいやに悪《わり》い仕事をして逃げる、そうなりゃア何《ど》うでも宜《い》いやア、ねえ、否《いや》でげすか、え、もし」
と厭に絡《から》んで云いがゝりますも、蝮《まむし》と綽名《あだな》をされる甚藏でございますから、うっかりすれば
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