置いておくんなすって、其の事は何うか仰しゃってはいけませんから」
 甚「厄介な奴だ、畜生《ちきしょう》め、銭《ぜに》が無くて幽霊を脊負《しょ》って来やアがって仕様がねえ、其処《そこ》へ寝ろ」
 と仕方が無いから其の夜《よ》は寝ましたが、翌朝《よくあさ》から土鍋で飯は焚《た》きまして、お菜《かず》は外《そと》から買って来まして喰いますような事で、此処《こゝ》に居《おり》ます。甚藏はぶら/\遊び歩きます。すると、此処から村までは彼是《かれこ》れ四五丁程もある土手下で、花や野菜物《せんざいもの》を担《かつ》いで来たり、肥桶《こいおけ》なぞをおろして百姓衆の休所《やすみどこ》で、
 農夫「太左衞門《たざえもん》何処《どこ》へ行くだ」
 太「今帰りよ」
 農「そうか」
 太「此間《こねえだ》勘右衞門《かんえもん》の所《とけ》へ頼んで置いた、些《ちっ》とベエ午房種《ごぼうだね》を貰うベエと思ってノウ」
 農「然《そ》うか、何《なん》とハア此の村でも段々|人気《にんき》が悪くなって、人の心も変ったが、徳野郎あれはあのくれえ太《ふて》え奴はねえノ」
 太「あの野郎|何《なん》でも口の先で他人《ひと》を
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