けると大概|七《なゝ》八日《ようか》ぐれえ帰らぬ男で」
 新「ヘエ、困りますな、何《ど》う云う御商売で」
 男「何うだって遊人《あそびにん》だ、彼方《あっち》此方《こっち》二晩三晩と何処《どこ》から何処へ行くか知れねえ男で、やくざ野郎サ」
 新「左様で、道楽なお方でございますので」
 男「道楽だって村じゃア蝮《まむし》と云う男だけれども、又用に立つ男さ」
 と悪口《わるくち》をきいて居る処へ、ガラリと戸を明けて帰って来たが、ずぶ濡《ぬれ》で、
 甚「あゝ酷《ひど》かった」
 男「帰《けえ》ったか」
 甚「ムヽ今|帰《けえ》った、誰だ清《せい》さんか、今帰ったが、松《まつ》が賀《か》で詰らねえ小博奕《こばくち》へ手を出して打って居ると、突然《だしぬけ》に手が這入《へえ》って、一生懸命に逃げたが、仕様がねえから用水の中へ這入って、ボサッカの中へ隠れて居た」
 清「己《おれ》は今通り掛《がゝ》って雨に遇《あ》って逃げる処がねえのに、雷様《らいさま》が鳴って来たから魂消《たまげ》てお前《めえ》らが家《うち》へ駈込んで、今囲炉裡へ麁朶ア一燻《ひとくべ》したゞ」
 甚「いゝや何《ど》うせ開《あけ》
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