が悪いよ、本当にお前《めえ》には困るナ」
 新「なアニ師匠お前が種々な事を云いさえしなければいゝけれども…お前|先刻《さっき》何処《どこ》かの二階へ来やアしないかえ」
 豐「何処へ」
 新「鮨屋の二階へ」
 豐「いゝえ」
 新「なんだ、そうすると矢張《やっぱ》りあれは気のせえかしらん」
 勘「何をぐず/\云うのだ、お前《めえ》附いて早く送って行きな、ね、師匠そこはお前さんの病気が癒《なお》ってからの話合だ、今其の塩梅の悪い中で別れると云ったって仕様がねえ、私も見舞に行きたいが、一人の身体で、つまらねえ店でも斯《こ》うして張ってるから、店を明ける事も出来ねえから、病気の癒る間新吉を上げて置くから、ゆっくり養生して、全快の上で何《ど》うとも話合をする事にね、師匠……ナニお前《めえ》送って行きねえ、師匠、お前さん四つ手でお出《いで》なすったが、彼《あれ》じゃア乗りにくいと思って今*あんぽつをそう言ったから、あんぽつ[#「あんぽつ」に傍点]でお帰りなさいよ、エ、何《なん》だい」
*「町人の用うるかごの一種四つ手より上等にして戸は引戸」
 駕籠屋「此方《こっち》から這入りますか駕籠屋でげすが」

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