三百両ぐらい掛ろうと云ったら実は母も驚いて、昔は五十両もあれば出来たものを大分高いと云ったが、実は斯々《これ/\》だと云ったら、まア三百円の金も無いけれども、そうなりゃ身請をしたら宜かろうと、親族から漸くに少し金策が出来て、実は此処に四百円才覚をして来たんだが、此の金で身請をさせて下されば、今日直ぐに書附《かきつけ》を取替《とりか》わして美代吉だけを連れて往《ゆ》きたいが御得心《ごとくしん》かえ」
婆「あれ、あなた本当のお金……」
庄「本当のお金だって(苦笑《にがわらい》)」
婆「まア何うも恐れ入りますねえ、まア何うも藤川さん、本当にあなたまア何うも誠に私ゃアホヽヽヽヽ(笑)一寸お音信《たより》をしたいと思って居りましたけれども、斯ういう忙がしい中で、まア美代吉にも私ゃアいつでもそう云うの、御贔屓になった方へはお前書けない手でも文《ふみ》の一本も上げなってねえ、それが芸者の当然《あたりまえ》だと云って、まア子供見た様な者ですから、遂《つい》まア存じながら御無沙汰になって本当にね、三八はんそう身請に成ればホヽヽヽヽヽ、旧《もと》が旧でおいでなさるからねえ、一寸お話しにさえなりゃア御親類か
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