す、それも宜《よ》いけど、あんな人の好《よ》い奴《こ》だからお前さんと遊ぶにも、お前さんだって有り余る身代じゃアなし、身上《みあが》りをしたり、聞けば他で以て高利を借りて、それも是れもまア稼人《かせぎにん》のこったから私は何にも云いませんけれども、考えて御覧なさい、私は玉《ぎょく》をいくら取り損《そこな》ったか知れやしない、それもまア私は何とも云いはしないが、お前さんにそう改まって御存じだろうと仰しゃられちゃア、私も困りますよ、はい随分困ります、……知らない振で居ましたが、何うぞ是からは遊んで下さらないように願いたいねえ」
庄「だからお前に苦労させて済みませんから、何うか多分の事じゃア出来ないけれども、母にも打明けて話し、親戚の者にも話したが、美代吉はお前の娘という訳でもなし、云わば抱えで流れ込んで居るという事を知って居るが、此の藤川に身請をさせて貰いたいんだ多分の金円《きんえん》を出せと云っては出来ませんが、何うか身請の処《とこ》を御承諾を願いたい」
婆「へえゝ、大層お立派な事を仰しゃいますね、それは藤川さんお前さんも惚れている女ですもの、身請をしてお前さんの家《うち》へ女房にして置
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