と云《い》ふので、黒人《くろうと》の道具商《だうぐや》さんが掘出物《ほりだしもの》を蹈《ふ》み倒《たほし》にやつて参《まゐ》ります。「エヽ殿様《とのさま》今日《こんにち》は。士「イヤ、好《よ》い天気になつたの。「ヘイ、エヽ此水指《このみづさし》は誠《まこと》に結構《けつこう》ですな、夫《それ》から向《むか》うのお屏風《びやうぶ》、三|幅《ぷく》対《つひ》の探幽《たんにゆう》のお軸《ぢく》夫《それ》に此霰《このあられ》の釜《かま》は蘆屋《あしや》でげせうな、夫《それ》から此《この》長《ちやう》二|郎《らう》のお茶碗《ちやわん》――是《これ》は先達《せんだつて》もちよいと拝見《はいけん》をいたしましたが此四品《このよしな》でお幾《いく》らでげす。士「何《ど》うもさう一時《いちどき》に纏《まと》めて聴《き》かれると解《わか》らぬね、此《この》三|幅《ぷく》対《つゐ》の軸《ぢく》は己《おれ》の祖父《そふ》が拝領《はいりやう》をしたものぢやがね、釜《かま》や何《なに》かは皆《みな》己《おれ》が買つたんだ、併《しか》し貴様《きさま》の見込《みこみ》で何《ど》の位《くらゐ》の価《もの》があるぢやらう
前へ
次へ
全10ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング