ノて山へ登るは適《かな》いませぬから、転げるように谷へ下《お》りました。続いて後《あと》から追掛けて来ました盗人は、よう/\追付《おっつ》いて、ドンとお町の脊中《せなか》を突きましたから、お町はのめる機《はずみ》に熊の棲《す》んでいる穴の中へ落ちました。穴は雪の為に入口を塞《ふさ》がれて居りますから、表からは見えませぬが、手を突くはずみに、土の盛ってある処を突破《つきやぶ》り、其の儘穴の中へころ/\/\。熊の棲む穴にはいろ/\種類がありまして、また国々によって違いますが、多くは横穴でございます。縦に深く掘ろうと思いましても土を出すことが出来ませぬから、横へ/\と深くなりますので、或《あるい》は天然の穴を利用するのもありますが、これは大きな井戸の如き穴を利用したのでございますから、深さは十四五|間《けん》あります、底にはいろ/\な柔かな物が敷いてありまして、其の上に熊の児《こ》が三四匹居りました。親熊は其の物音に驚き、落ちた女に構わず、一散《いっさん》に飛上って件《くだん》の盗人を噛倒《かみたお》し、尚お驚いて逃出そうとする一賊の後《うしろ》から両手を伸《のば》して噛《かじ》り付き、あわ
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