時な、うーんと云って主人の手を握ってな」
鐵「へえ」
僧「目を半眼にして歯をむき出し、旦那さま私《わたくし》は死に切れませんよ」
○「やア鐵う、もっと此方《こっち》へ寄れ……気味が悪い、どうもへえー成程……そこを閉めねえ、風がぴゅー/\入るから……へえー」
僧「気の毒な事じゃが、仕方がない、そこで私《わし》がいた蓮光寺へ葬りました、他に誰も寺参りをするものがないから、主人が七日までは墓参りに来たが、七日後は打棄《うっちゃ》りぱなしで、花一本|供《あ》げず、寺へ附届《つけとゞけ》もせんという随分不人情な人でな」
○「へえー酷《ひど》い奴だね、其奴《そいつ》ア怨まア、直《すぐ》に幽的《ゆうてき》が出ましたかえ」
僧「私《わし》も可愛そうじゃアと思うた、斯ういう仏は血盆地獄《けっぽんじごく》に堕《おち》るじゃ、早く云えば血の池地獄へ落るんじゃ」
○「へえー」
僧「斯ういう亡者《もうじゃ》には血盆経《けっぽんきょう》を上げてやらんと……」
○「へえー……けつ……なんて……けつを……棒で」
僧「いや血盆経というお経がある、七日目になア其の夜《よ》の亥刻《こゝのつ》[#「亥刻《こゝのつ》」はママ、
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