じ詩を作りに来る風流人が幾許《いくら》もあるな」
鐵「へえー松島に何か心中でもありましたかえ」
医「情死などのあるところじゃアないが、差当《さしあた》って別にどうも面白い話もないが、医者は此様《こん》な穢《きたな》い身装《みなり》をして居てはいけません、医者は居《い》なりと云うて、玄関が立派で、身装が好《よく》って立派に見えるよう、風俗が正しく見えるようでなければ病者《びょうしゃ》が信じません、随って薬も自《おのず》から利かんような事になるですが、医者は頓知頓才と云って先《ま》ず其の薬より病人の気を料《はか》る処が第一と心得ますな」
鐵「へえー何ういう……気を料る処がありますな」
医「先年乞食が難産にかゝって苦しんでいるのを、所の者が何うかして助けて遣りたいと立派な医者を頼んで診《み》て貰うと、是はどうも助からん、片足出ていなければ宜《よ》いが、片手片足出て首が出ないから身体が横になって支《つか》えてゝ仕様がない、細かに切って出せば命がないと途方に暮れ、立合った者も皆《み》な可愛そうだと云っている処へ通りかゝったのが愚老でな」
鐵「へえ……それからお前さんが産《うま》したのかえ」
医「
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