送り遊ばして下さいますれば、何《ど》の様《よう》にもお礼をいたしましょう、お忙しいお身の上でもございましょうが、お連れ遊ばして下さいまし」
と頼まれて見ると宗達も今更見棄てる事も出来ず、
宗「それは気の毒なことで、それならば私《わし》と一緒に江戸まで行《ゆ》きなさるが宜《よ》い私《わし》は江戸には別に便《たよ》る処もないが、谷中の南泉寺へ寄って已前《いぜん》共に行脚《あんぎゃ》をした玄道《げんどう》という和尚がおるから、それでも尋ねたいと思う、ま兎も角もお前さんを江戸屋敷まで送って上げます」
と云うので漸《ようよ》うの事にて江戸表へまいりましたが、上屋敷へも下屋敷へもまいる事が出来んのは、予《かね》てお屋敷近い処へ立寄る事はならんと仰せ渡されて、お暇《いとま》になった身の上ゆえ、本郷春木町の指物屋岩吉方へまいり、様子を聞くと、岩吉は故人になり、職人が家督《あと》を相続して仕事を受取って居りますことゆえ、迚《とて》も此処《こゝ》の厄介になる事は出来ません。仕方がないので、どうか様子を下屋敷の者に聞きたいと谷中へ参りますと、好《い》い塩梅に佐藤平馬《さとうへいま》という者に会って、様子
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