すさり出まして、
若「あれまア清爺《せいじい》や」
清「へえ……誰だ……誰だ」
若「誰だってまア本当に、頭巾を被っているから分るまいけれども私だよ」
 と云いながらお高祖頭巾《こそずきん》をとるを見て、
清「こりゃア何とまア魂消たね、何うして……やアこれ阿魔ア……」
梅「何だ阿魔とは怪《け》しからん、知る人かえ」
若「はい、私《わたくし》の処の親父の存生中《ぞんしょうちゅう》から奉公して居ります老僕《じいや》ですが、こゝで逢いましたのは誠に幸いな事で」
清「ま、どうして来ただアね、宿下《やどさが》りの時にア私《わし》は高崎まで行ってゝ留守で逢わなかったが、大《でか》くなったね、今年で十八だって、今日も汝《われ》が噂アしてえた処だ、見違《みちげ》えるようになって、何とはア立派な姿だアな、何うして来た、宿下りか」
若「いゝえ、私はまたお前に叱られる事が出来たのだけれども、お母様《っかさま》に詫言《わびごと》をして、どうか此のお方と一緒に宅《うち》へ置いて戴くようにしておくれな」
清「此のお方様てえのは」
 と梅三郎を見まして、
「此のお方様が……貴方は岡田さまか」
梅「えゝ拙者は春部梅三郎
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