致しまして、これお茶を、お茶も上げられません、貴方に戴いたお菓子が二ツ残って居ります、彼《あ》れをお上げ申せ」
文「どう致しまして、左様ならお暇《いとま》申します」
町「親父は頑固《いっこく》ものですから、お気に障りましたろうが、どうか悪く思召さないで下さいまし、御機嫌《ごきげん》宜しゅう」
と板の間まで出て見送ります。文治もどうかして金を遣りたいが、所詮金では受けないから薬にして持って往って遣ろうかと、いろ/\に工夫をしながらうか/\と路地を出に掛りますと、入って来たのはまかな[#「まかな」に傍点]の國藏と云う奴で、九月の四日に文治に拳骨で擲《は》り倒されまして、目が覚めたようになって頻《しき》りに稼《かせ》いで、此の長家《ながや》へ越して来たと見えて、夜具縞《やぐじま》の褞袍《どてら》を着て、刷毛《はけ》を下げまして帰って来まして、文治と顔を見合せて恟《びっく》りしました。
國「おや旦那」
文「おう國藏か、どうした」
國「こりゃア不思議だ、貴方《あんた》は何《ど》うして此処《こゝ》へ」
文「少し知己《しるべ》があって来たが、此の節は辛抱するか」
國「えい漸《ようや》
前へ
次へ
全321ページ中65ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング