金魚を探すようで、女の脊中を撫でたりお尻《しり》を抓《つね》ったりします。彼《か》の女は悪党でございますから、突然《いきなり》に番頭の手拭を引奪《ひったく》って先へ上って仕舞いましたゆえ、番頭は彼《あ》の手拭を八つに切って一ツはお守へ入れてくれるだろうと思っていると大違いで、女は衣類《きもの》を着て仕舞い、番台の前へ立ちましたが、女の癖に黥《いれずみ》があります。元来此の女は山《やま》の浮草《うきくさ》と云う茶見世へ出て居りました浮草《うきくさ》のお浪《なみ》という者で、黥|再刺《いれなおし》で市中お構いになって、島数《しまかず》の五六|度《たび》もあり、小強請《こゆすり》や騙《かた》り筒持《つゝもた》せをする、まかな[#「まかな」に傍点]の國藏《くにぞう》という奴の女房でございますからたまりません、
浪「一寸《ちょっと》番頭さん」
番「へい、なんでございます」
浪「あの少し其処《そこ》ではお話が出来ないから此処《こゝ》へ下りておくれよ、毎晩私に悪戯《いたずら》をする奴があるよ、私の臀《しり》を抓ったり脊中を撫でたりするのはいゝが、今日は実に腹が立ってたまらないから、其奴《そいつ
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