ひざ》を打ちますと、前へドーンと倒れるのを見て、一人の士は真向《まっこう》上段に一刀を振りかざして、今打ちおろそうとする奴を突然《いきなり》傘の轆轤《ろくろ》で眼と鼻の間へ突きをいれまして、倒れる処を其の者の抜きました長物《ながもの》で刀背打《むねうち》に二ツ三ツ打《ぶ》ちましたが、七人力ある人に打《ぶた》れたのですから堪《たま》りません、
士「まえった、御免を蒙《こうむ》る、酩酊《たべよっ》て怪《け》しからん訳でござる、お詫を致す、お免《ゆる》し下さい」
文「お前さん方は長い物をさして、人を劫《おびや》かすのは宜しくありません、お師匠様の御名儀にも係《かゝわ》ります、以後たしなまっしゃい」
士「恐れ入ります」
と云いながら刀を拾って逃出《にげだ》しましたから、
文「そんな鈍刀《なまくら》では人は斬れません」
と笑いながら文治は跡を見送って、
文「只今のお方は何処《どちら》においでなさるな」
商「へーこれに居ります、貴方《あんた》の御尊名は何《なん》と仰しゃいますか、手前は上州《じょうしゅう》前橋|竪町《たつまち》松屋新兵衞《まつやしんべえ》と申しますが、貴方の今の働き
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